病院勤務をしていた時に、週1回~2回で回想法をやっていました。
その時の得られた経験を記録します。
もし、勤務先で回想法を検討されている方がいたら、参考にしてみてください。
回想法がどんなものか分からない方は、ググってください。
いっぱい分かりやすい資料が出てくると思います。
職員の態度
基本的に、職員や司会役の人は、聴き役です。
回想法をあまり知らない職員が入った場合、その職員がしゃべり続けてしまうことがあります。
ただし、話題提供で質問することはあります。
例えば、「カラーテレビが出たときって、どんな気持ちでしたか」とか、「好きな音楽は何ですか」とか、そんな感じです。
結論として、まずは高齢者の話を聴いて、ときどき話題提供で自分の話をしたり、質問したりします。
回想法の効果
回想法を行う上で、一番気になるのがどのような効果があるかではないでしょうか。
コクランっていうイギリスの組織があり、そこでは色々な治療の効果の有無を研究しています。
現段階の効果として、回想法はそれを行う場所によって効果が変わるという結論のようです。
行う場所というのが、高齢者の通所先(デイサービスなど)、施設、医療機関などです。
得られる効果というのが、生活の質(QOL)の向上です。
その他の効果について、抑うつや不安などの気分は、まちまちのようです。
通所施設で行うか、長い間過ごしている施設で行うかなどによって効果が変わってきます。
確かに、自立した生活を送れている高齢者や、コミュニケーションの盛んな施設に入所されている高齢者に行う場合と、コミュニケーションが行われず、ほとんど一人で過ごされている施設の場合とでは、現れる効果は全く違うというのは、イメージが出来ますね。
また、若者の回想法は効果が思ったような効果が得られないようです。
高齢者に回想法を行うと、効果が発揮されるようですね。
参加人数
経験的に、職員1人につき、高齢者5人が最大の人数です。
それ以上になると、場を回す職員の手が足りなくなります。
あと、参加人数にもよりますが、難聴の方や視覚障害のある方には、職員1人ついてあげる方がいいです。
特に難聴の方は、職員が必須です。
聞こえないことがほとんどだと思うので、司会の職員が話すたびに、近くの職員がその高齢者に耳元で伝えると良いです。
参加者は、会話が可能なレベルの機能が保たれている方に限ります。
間違っても、会話の難しい方に行うと、回想法がむしろ苦痛になってしまう危険性があるので、慎重に行う必要があります。
薬と同じで、間違った使い方をすると、当然副作用も出てきます。
回想法のテーマ
基本、テーマは自由ですが、最初にテーマを絞った方が参加者である高齢者もしゃべりやすいと思います。
私の病院では、「季節」「遊び」「家族」「故郷」「家電」などテーマを絞っていました。
もちろん、話が逸れることもありますが、あんまり軌道修正した記憶はないです。
参加している高齢者が盛り上がれば良いかなぐらいのモチベーションでやっていました。
老若男女問わず盛り上げる話題は、食べ物と恋愛ですね。
これは間違い無いです。
考えてみれば、私たちも食べ物のおいしい話や恋愛話って嫌いな人はあんまりいないと思います。
回想法のツールについて
昔の家電や風景が載った写真や絵、本などを使います。
正直、よくお話しする高齢者なら、数枚の写真で場が持つのですが、認知機能が低下した方が多いと、場が持たないことが多かったです。
そのため、途中からパソコンやプロジェクターなどを使い始めました。
そうすることで、写真などをいっぱい用意できるので話が弾みやすいです。
しかし、注意点があり、パソコンやプロジェクターなどの使い方にある程度知っている人じゃないときついです。
というのも、機材トラブルが起こったとき、トラブルを早急に解消しないと場がしらけてしまう恐れがあります。
そのため、パソコンなどの操作に自信のない人は、絵や写真などを使った方が良いと思います。
もし、パソコンが使えるならインターネットに接続できるとなお良いです。
認知機能が落ちてくると、思い出すのに時間が掛かります。
そんなとき、高齢者のワードを拾って、検索します。
そして、写真を映し出すことで、思い出す手助けになります。
男性と女性の違い
男性はほとんど話さず、女性はよく話をします(笑)
もちろん、男性の中でもよく話す方や、女性の中でもあまり話さない方もいます。
ただ、ほとんどの方は、この傾向に当てはまると思いますので、個別のサポートが必要です。
あまり話さない高齢者がいたら、回想法の時に話を振ったり、あとで個別に話を聴いてあげるとかのサポートが必要です。
あと、男性の中にはあまり話をしないけれど、女性たちの話をしっかり聴いて、時々発言するという男性もいるので、一概に話さないから悪いというわけではないです。
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