はじめに
こんにちは、心理カウンセラーのえんじょうじです。
ここ数年、テレビで自殺の話題が多いですね。
そういう話題を聞くと、心理カウンセラーと言えども、やっぱり気分が落ち込んでしまいます。
背景には、孤独感や、うつ病などが考えられますが、それだけではありません。
今回は、色々な要因について調べましたので、ご自分の体調と照らし合わせてみてください。
自殺に走りそうな人の特徴

内海 (2016) によれば、以下の通りです。
● 無力感や孤独感が増加
● 自信の低下
● 1つのことに気が取られ、他のことが目に入らない
● 思考の柔軟性の低下
● 自殺が唯一の問題から抜け出せる方法だと考える
● 誰かに気づいてもらいたい。理解してもらいたい
内海雄思 (2016) 自殺の評価リスク 下山晴彦・中嶋義文 (編) 公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法 医学書院 pp.117-119の内容を参考に箇条書きに改変
当てはまっているものはありましたか?
当てはまっていたら、すぐに自殺に走るというわけではなく、リスクが高くなるということです。
興味深いのは、自殺に走りそうな人は、他人との距離感が離れてしまう行動をとりやすいです。
一方で、誰かに気づいてもらいたい、理解してもらいたいという考えも持ち合わせています。
このような、一見すると相反するような側面を持っているため、より苦しくなるのかもしれません。
自殺に走りやすくなる日常的な行動・状態

さらに、内海 (2016) の内容を参考に、まとめてみました。
気分
- 深い抑うつ気分、焦燥感などの気分
- 頑固な性格
考え
- 自殺念慮(自殺のことを思い巡らせること)
- 「自分は罪深い」、「お金がない」と考えるなど、自分の評価が低いと思っていること
身体の反応
- 不眠
- 食欲不振
- 身体の病気や、慢性的な身体の痛み
行動
- 酒量の増加
- 危険な運転など、投げやりな行動
- 「もうどうでもいい」「どこかにいなくなりたい」といった発言
- インターネットや本などで自殺の方法を調べる
- 身の回りの物を整理・処分する
環境
- 家族や、身近な人に自殺者がいること
- 親しい人との死別や、リストラなどの経済的損失
- 交友関係が無い
自殺リスクを減らす要因

これまでの内容は、自殺に近づいてしまう内容でしたが、自殺を回避するための内容になります。
自尊心を高める
これまでの人生経験から自己評価が低くなっている可能性があります。
出来ていない部分だけでなく、出来ている部分を含めた現実に即した評価が大切です。
特に、性格的な問題は長所と短所を含んでいます。優しいという長所的な性格は、優柔不断という短所的な性格を持っていたり、頑固という短所的な性格だったら、自分の信念をしっかり持っているという長所的な性格になるものです。
危険を予測する能力を高める
自分の力や他人の力を借りても対処できない状況に陥る前に、危険を予測し、適切に対処できる準備が必要です。
例えば、「いくら眠っても眠り足りない」「今まで楽しかった趣味が、楽しくない」といった日常生活の変化は、危険信号の目安になるかもしれません。
二者択一思考から解放する
二者択一思考、「白か黒か」という考え方が悪いわけではなく、その中間の中成功、小成功があることを理解すると良いです。
失敗しても、そこから得られた経験を得られたと考え方も大切です。
また、白か黒かがはっきりしない状況は、自殺の危険性の高い人が苦手とする傾向にあります。
時には、判断を先送りにして、状況が進展するのを待つという対処方法を使うと良いかもしれません。
優先順位をつける
複数の問題が出てくると、誰しも混乱するものです。
そのような時は、問題を箇条書きにして見える化したり、優先順位をつけることが必要です。
適切な自己主張ができるようにする
自己主張することが当然の場面でも、自分の言い分を引っ込めてしまいがちです。
自分の意見を言うためには、アサーショントレーニングという方法があります。
周囲の人との関係を見つめ直してみる
自殺を考える人は、他者から見捨てられる体験をしている場合があります。
自分にとって、本当に大切な人は誰かを見つめ直し、関係を再構築してみましょう。
誰が大切な人なのか分からなくなった方へ
もし自分が、入院してしまったとき、誰かがお見舞いに来たとします。
その方が、一人でお見舞いに来られた場合。その方は自分に対して時間を費やしてくれる方なので、特に関係を大切にしてください。
次に、複数でお見舞いに来られた方々は、仕事とか、趣味といった特定のコミュニティで仲の良い人たちだと思います。ほどほどの関係を保つと良いかもしれません。
最後に、お見舞いに来られない方々は、お互いメリットもデメリットも感じない場合がほとんどです。用事があるときに、必要最小限の関わりでOK!!
以上の内容は、高橋祥友 (1997) 自殺の心理学 講談社現代新書の内容を参考に改変
他人に助けを求めて良い

他人に助けを求める行動は、専門用語で援助要請行動と呼びます。
しかし、誰もが援助要請をするわけではありません。
援助要請をすれば問題解決の可能性が増すにもかかわらず、援助要請が容易に起こらないのは、要請コスト、特に心理的コストが非援助利益よりも大きいからである。
相川充 (1999) 援助要請行動 中島義明ら (編) 心理学辞典 有斐閣 pp.75
とあります。
はっきりとした原因が無いのに要請行動をしてしまうと、要請者自身の能力の低さ、不適切さ、失敗だと自分で考えてしまいます。
そして、自尊心が傷ついてしまうので、それを回避しようとして要請行動を拒否します。
まずは、要請行動の有無と、要請者本人の能力などとは関係ないことを意識する必要があります。
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